チューリップ
見切り品のようにお店の片隅に売られていた球根たちを 殺風景な庭の一角に植えたのは去年の晩秋の頃だった。
巷ではコロナウイルスの第2波〜第3波と騒がれていた頃で、先が見えない不安で なんとなく気持ちも暗く沈んでいた。
そんな時、ふと春にチューリップがたくさんお庭に咲いたら素敵だろうな…と思った。
3軒ほどガーデンセンターやホームセンターをまわり、値下げされて邪魔者のようになって売られていた球根たちを寄せ集めたら、20〜30個程になった。
まずは雑草を抜き、土を耕し肥料をすき込む。
そこにチューリップの球根を 色ごとに分けて植えていった。
あれから5ヶ月。
季節は巡り、待ちに待った春の訪れ。
赤やピンクのチューリップたちが、冬の厳しい寒さを経て顔を出し始めた。
私は数輪、チューリップを摘んでお部屋に飾ることにした。
懐かしいお友達にやっと会えたような気持ちになった。