自家焙煎珈琲 玄
「自家焙煎珈琲 玄」を知ったのは
今から数ヶ月前のことだった。
古き良き時代の純喫茶といった雰囲気の そのお店は、程よく薄暗くて 温かいランプの灯りに照らされ、奥まった場所にひっそりとあった。
今回、鎌倉を久しぶりに訪れたついでに、ここのコーヒー豆を買って帰ろうと思い、立ち寄った。
店内はあの日と同じ、温かく落ち着いた雰囲気で、店主がひとりカウンターに立ってカップを磨いていた。
カップといえば、ここのお店は、お客さんの雰囲気に合ったカップでコーヒーを出してくれるらしい。
また、カウンター席に座ったならば、目の前の壁に飾られた沢山のカップの中から、自分のお気に入りのカップを選ばせてくれて、そのカップでコーヒーを淹れてくれるらしいのだ。
以前から、どんなカップでコーヒーを出してくれるのかとても興味深かったので、コーヒー豆を焙煎してもらっている間に 店内でコーヒーを飲んでみることにした。
ブラジルとキリマンジャロの豆を100グラムづつ注文し、店内のテーブル席に座った。
待つこと10分弱。
店主によって運ばれてきたコーヒーは、こんな感じのカップに注がれていた。
有田焼のベルサイユのような雰囲気の鮮やかなブルーのカップ。モノトーンの服装の私には、意外なチョイスでびっくりしたとともに、なんだか新鮮だった。
すると店主がこちらにやってきて「キリマンジャロは明日焙煎予定なので今現在うちのコーヒー豆の中では一番古い豆となります。せっかくお持ち帰りいただくなら新鮮な豆をお選びいただく方が良いかと思う」とのアドバイス。
何が良いか迷ったので、とりあえずブラジルだけをお願いした。
口数の少ない店主の、お客さんを想う優しさ、そしてコーヒー豆へのこだわり(プライド)みたいなものを感じる事ができ、温かい気持ちになったなった。
また鎌倉を訪れたときに、立ち寄りたいと思う。