鎌倉へ
このところ、押し潰されそうになりながら、なんとか元気を振り絞って生きているような、そんな毎日であった。
思えばこの半年、かなりつらくて胸が締め付けられるような日々を過ごしている。
夜明けは来るのだろうか。
ふと気がつくと、電車に揺られながら鎌倉まで来ていた。修学旅行の学生さん達であふれる小町通りを歩きながら、鶴岡八幡宮を目指した。
娘の厄年のお祓いをしてもらうためだ。これ以上、厄がふりかからないように、すがる思いで歩いた。
本堂に着き、辺りを見回すと、
この時間、厄祓いを申込んでいたのは私1人だけのようだった。
外の暑さとは裏腹に、本堂は冷んやりと涼しい空気が流れていた。
私は、用意されていた椅子に腰掛け、軽く頭を下げてその時を待った。
神主さんが白い大麻を振りながら、なにやら言葉を唱えている。
時間にすると15分ぐらいだっただろうか。
無事に儀式が終わり、木のお札と和菓子をもらって外に出た。
白い鳩が一羽、わたしの周りをゆっくりと歩いている。
赤い眼をした真っ白な鳩。
鳩は私の姿を見上げながら時おり近づくようなそぶりを見せてわたしの周りを一周して赤い橋の方へ歩いて行った。
何だか、心がすーっと穏やかになっていくのを感じた。
境内の池の蓮の葉がもうこんなに青く輝いている。
もうすぐ梅雨の季節…。
家に着くと、頂いた和菓子をさっそく食べてみる事に。
優しい甘さのクリームがサンドされて、とても美味しい和菓子だった。