父の命日に

あれから15年も経つなんて信じられないけれど、時は確かに時間を刻みながら今日まで私をこの日に連れてきていた。

 

私は花を花瓶に生けながら、あの日を思った。

大雪の降る日だった。

身体の芯まで冷え切るようなそんな日だった。

命の消える瞬間を初めて目の当たりにした。

人はこんなふうに亡くなってゆくのだと、蝋燭の炎が消えゆくように亡くなってゆくのだと悲しみに暮れながら思った。

 

父へ。

そちらの暮らしはどうですか?

楽しく暮らせていますか?

大好きな歌を歌ったり、三味線をひいたり…

15年という月日はあまりにもあっという間で、でもそれでいてあまりにも遠すぎて、あなたの笑顔だけが目に浮かんでいます。

これからも、空から私達を見守っていてください。

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スタバに行くなら

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ここのスタバに行くなら、この席に座りたいと以前から思っていた座席があった。

その席はいつも誰かが座っていて 今までで一度も空いているのを見たことがなかった。

それがどうしたことか、何気にその席に目をやると、今日に限って空いているではないか。

お店の隅の唯一L字の座席で、店内をざっと見渡すところ、一番落ち着く雰囲気の場所である。

 

これは、お店に入るしかない!と意気込んで、席を確保し、ほうじ茶クラッシックラテを注文した。それを飲みながら先日から読み始めた文庫本に目を通すと、自分だけの静かな時間が生まれるのを感じた。

 

 

 

 

 

 

深い青に惹かれて

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ナポリにあるカプリ島の青の洞窟を思わせるガラスの花瓶に惹かれて、思わず衝動買いをしてしまった。

 

この深い海の色をした花瓶は、ぽってりと丸みをおびていて、ずっしり重く、

手で触れてみると、冷んやりと冷たかった。

 

この深い青色に合う花は何だろう。

花の色が思い浮かばなかったのでとりあえず、水を入れてポポラスユーカリを生けてみる。

 

ふと、この花瓶には、薄い黄色の花が合いそうな気がした。

 

日光猿軍団のランちゃん

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伊勢佐木町の商店街の一角に、子供達の楽しそうな笑い声と笑顔があった。

土曜日の午前中。

人々が忙しそうに行き交う中で その一角だけは時間がゆったりと流れていた。

お年寄り、親御さんやその子供達みんなが 笑顔だ。

そこにあったのは日光猿軍団のミホさんとランちゃんの姿。

お猿のランちゃんは、玉乗りを上手にこなし、竹馬までも一生懸命披露してくれた。

なんでも、玉乗りができるようになるまで2年かかったらしい。

その間の血の滲むような努力と練習量は、その技の中に全て現れていた。

 

コロナ禍で、みんなが自粛したり行動を制限されたりと、この約2年近く不便な生活を強いられてきたけれど、ここにいる皆んながランちゃんのおかげで笑顔になれた。

 

みほさん、ランちゃん、ありがとう。

またいつかどこかの街で会えるといいな…。

 

 

 

 

自家焙煎珈琲 玄

「自家焙煎珈琲 玄」を知ったのは

今から数ヶ月前のことだった。

古き良き時代の純喫茶といった雰囲気の そのお店は、程よく薄暗くて 温かいランプの灯りに照らされ、奥まった場所にひっそりとあった。

 

今回、鎌倉を久しぶりに訪れたついでに、ここのコーヒー豆を買って帰ろうと思い、立ち寄った。

店内はあの日と同じ、温かく落ち着いた雰囲気で、店主がひとりカウンターに立ってカップを磨いていた。

カップといえば、ここのお店は、お客さんの雰囲気に合ったカップでコーヒーを出してくれるらしい。

また、カウンター席に座ったならば、目の前の壁に飾られた沢山のカップの中から、自分のお気に入りのカップを選ばせてくれて、そのカップでコーヒーを淹れてくれるらしいのだ。

以前から、どんなカップでコーヒーを出してくれるのかとても興味深かったので、コーヒー豆を焙煎してもらっている間に 店内でコーヒーを飲んでみることにした。

 

ブラジルとキリマンジャロの豆を100グラムづつ注文し、店内のテーブル席に座った。

 

待つこと10分弱。

店主によって運ばれてきたコーヒーは、こんな感じのカップに注がれていた。

 

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有田焼のベルサイユのような雰囲気の鮮やかなブルーのカップ。モノトーンの服装の私には、意外なチョイスでびっくりしたとともに、なんだか新鮮だった。

すると店主がこちらにやってきて「キリマンジャロは明日焙煎予定なので今現在うちのコーヒー豆の中では一番古い豆となります。せっかくお持ち帰りいただくなら新鮮な豆をお選びいただく方が良いかと思う」とのアドバイス

何が良いか迷ったので、とりあえずブラジルだけをお願いした。

口数の少ない店主の、お客さんを想う優しさ、そしてコーヒー豆へのこだわり(プライド)みたいなものを感じる事ができ、温かい気持ちになったなった。

また鎌倉を訪れたときに、立ち寄りたいと思う。

嬉しかったこと

フラワーアレンジで使ったカシワバアジサイが、みるみるうちに萎んできた。まだ2日しか経っていないのに。

 

必死にシン抜きをし、深水につけてみるが、カシワバアジサイは日に日に元気を無くしていった。

縋るような思いでネットで調べてみると、茹であげと言う方法がこれには適しているようだったので、早速鍋に湯を沸かし、カシワバアジサイの茎をグツグツ茹でた。この時、決して花びらに湯気がかからないように新聞紙で花びらを覆うようにする事が大切らしい。

 

1〜2分経った頃、湯から上げて茎を水に浸けた。この状態で1時間。

萎れていた穂先がだんだんと上向きになってきたかと思うと、カシワバアジサイは元気を取り戻してきた。

 

諦めなくて良かった。ピンと上向きになったカシワバアジサイを見ながらそう思った。

何気ない平凡な1日だったけれど、嬉しかった。

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